このKさんの敷地の南側に2階建ての隣家がぴったり建っていて 住宅の南側には大きな窓やベランダを設ける意味がない
北側は大きくひらけていて眺めが良く 広いベランダとそこに面して大きなガラス扉を設けたLDKとする
日照はLDKの南北一杯に伸びる帯状のトップライトから明るい太陽の光がさんさんと降ってくる
という住宅設計となった
木造住宅設計では その構造軸組を 垂直材の柱 と 水平材の梁 で構成するのだが その接続箇所ごとに異なる建築基準法に定められた数値の強度を持つ構造金物 でお互いを緊結しなければならない
そして 耐震壁 あるいは 耐力壁 と称される壁体には 筋違(すじかい) という斜め材も 同じく強度数値を指定された 構造金物 で 柱 梁 に緊結するのだ
ここまでは建築のプロではない建築主でもおぼろげながらも知識があるのだが これらの垂直面の壁体と同時に水平面の 床 あるいは 天井 さらには急勾配の屋根構造材にも同じように耐震構造上の強度が不可欠であるという 住宅設計においても住宅施工においても重要な認識が 大工さんなどの建築のプロの多くさえにも欠落しているのが現実の住宅建築現場の姿なのである
このKさんの住宅建築では 住宅設計上重要な水平強度の確保のために構造金物を多用し住宅設計図にそのリストを記載しているのだが この 構造金物 が まずは棟梁Nさんのジャブとなった
この住宅の設計では 耐震のための水平構造材とそれに取りつく斜めや垂直の構造材が ボルト ナットあるいはプレート等の構造金物で 柱あるいは梁に緊結されている この住宅建物では これらの構造材は その多くが高く昇ってゆく斜め天井の下に露出しているのだ
これらの木構造材はあらかじめプリカット会社で所定の形状に加工されて現場に搬入される
上棟時 それを組み立てて構造金物で緊結するところから棟梁Nさんの作業は始まる
これは旧来の 作業場で棟梁がおこなう きざみ の作業を プリカット会社という専門会社の工場作業に置き換えてきた近年の木造住宅の省力化を目指す一般的な現場の姿なのだ
棟梁Nさんは 一般的には小屋裏や壁内に囲われて見えることのない 構造金物 が露出していても良いのか さらには他の仕上材料でその金物をきれいに化粧しなくても良いのか というジャブを設計事務所に繰り出したのだ
このジャブを受けた己れのジャブは 図面のとおりに そのまま露出で施工して下さい 化粧は不要です である
その理由をNさんに説明する
木構造露出部分は一目見て建物の強い応力の流れを感覚的に感じるようにしたい
露出する金物は 大きな力の流れ と それに対応する接続部の強度の安全性を感覚的にはっきり感じさせるものなのでそれをあえて化粧などすることは全く考えていない
そして それに対比するように 構造部分の強い応力を受けていない 仕上げ面 は出来る限り 精細に きれいに 仕上げてほしい である
ある日のこと
随分長い間使うことがなかった と云いながら 棟梁Nさんが現場に持ち込んできた造作木工事加工用の大きな電動工具をニコニコしながら己れに見せてくれた時は己れもうれしかった
いつもと異なる形態 仕上げ方法でも きちんと設計で意図した住宅建物になってゆく というこの住宅建築への己れの考え方を棟梁Nさんと共有することが出来てきたのだろう
お互い おぬし やるではないか とプライドをもって作業が出来るようになったのだ という思いであった
住宅設計 ― Kさんの住宅工事現場舞台裏の話 その1もご覧下さい
住宅設計 ― Kさんの住宅工事現場舞台裏の話 その2もご覧下さい
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住宅設計―鳥はその生き方にふさわしい巣をつくる 人間は?もご覧下さい
住宅設計事務所木村俊介建築設計事務所のホームページをご覧下さい
北側は大きくひらけていて眺めが良く 広いベランダとそこに面して大きなガラス扉を設けたLDKとする
日照はLDKの南北一杯に伸びる帯状のトップライトから明るい太陽の光がさんさんと降ってくる
という住宅設計となった
木造住宅設計では その構造軸組を 垂直材の柱 と 水平材の梁 で構成するのだが その接続箇所ごとに異なる建築基準法に定められた数値の強度を持つ構造金物 でお互いを緊結しなければならない
そして 耐震壁 あるいは 耐力壁 と称される壁体には 筋違(すじかい) という斜め材も 同じく強度数値を指定された 構造金物 で 柱 梁 に緊結するのだ

このKさんの住宅建築では 住宅設計上重要な水平強度の確保のために構造金物を多用し住宅設計図にそのリストを記載しているのだが この 構造金物 が まずは棟梁Nさんのジャブとなった
この住宅の設計では 耐震のための水平構造材とそれに取りつく斜めや垂直の構造材が ボルト ナットあるいはプレート等の構造金物で 柱あるいは梁に緊結されている この住宅建物では これらの構造材は その多くが高く昇ってゆく斜め天井の下に露出しているのだ
これらの木構造材はあらかじめプリカット会社で所定の形状に加工されて現場に搬入される
上棟時 それを組み立てて構造金物で緊結するところから棟梁Nさんの作業は始まる
これは旧来の 作業場で棟梁がおこなう きざみ の作業を プリカット会社という専門会社の工場作業に置き換えてきた近年の木造住宅の省力化を目指す一般的な現場の姿なのだ
棟梁Nさんは 一般的には小屋裏や壁内に囲われて見えることのない 構造金物 が露出していても良いのか さらには他の仕上材料でその金物をきれいに化粧しなくても良いのか というジャブを設計事務所に繰り出したのだ
このジャブを受けた己れのジャブは 図面のとおりに そのまま露出で施工して下さい 化粧は不要です である
その理由をNさんに説明する
木構造露出部分は一目見て建物の強い応力の流れを感覚的に感じるようにしたい
露出する金物は 大きな力の流れ と それに対応する接続部の強度の安全性を感覚的にはっきり感じさせるものなのでそれをあえて化粧などすることは全く考えていない
そして それに対比するように 構造部分の強い応力を受けていない 仕上げ面 は出来る限り 精細に きれいに 仕上げてほしい である
ある日のこと
随分長い間使うことがなかった と云いながら 棟梁Nさんが現場に持ち込んできた造作木工事加工用の大きな電動工具をニコニコしながら己れに見せてくれた時は己れもうれしかった
いつもと異なる形態 仕上げ方法でも きちんと設計で意図した住宅建物になってゆく というこの住宅建築への己れの考え方を棟梁Nさんと共有することが出来てきたのだろう
お互い おぬし やるではないか とプライドをもって作業が出来るようになったのだ という思いであった
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