谷戸―やと―のなかにせせらぎの水音 墓前に僧侶の読経が流れるA霊園での法事
ここが東京

こんな所に居をかまえるのも悪くないな と 思わずつぶやく
妻が こんなさびしいところは怖くて嫌だ と反応した
住宅建築は
都会のなかの 住むうえでの安定した環境に建てる
あるいは 人里離れた 厳しい環境の自然のなかに建てる
という選択肢があり それぞれの場合に 住まいでの生き方 を楽しむことが出来る
群―むれ― に加わらず 己れの世界をつくる 厳しい自己責任と引換に 限りない 自由 のある生き方の人生をとるか
群れ―むれ―の一員に収まることで 妥協と引き換えに 大きな安心の安定した生き方の人生をとるか
住まいでの生き方 人生の生き方 いずれも強いみずからの意志があればだれにでも出来る選択である
法事のあと 訪れた高尾山猿園の50余匹いるという猿の群れのなか
「あれがボスざるだよ」
と飼育係のオジさんが指差した一回り大きな猿は 猿山のてっぺんに他の猿の群れを睥睨するように悠々と寝そべり 彼女だか家来だかに毛づくろいをさせている
「ボスざるは群れの中での力の戦いの勝者ではないよ」 とオジさんの話は続く
要するに 群れの中での信望を得てボスの座に近ずいてゆく とのことなのだ
喧嘩があればたちどころにその場に飛んで行き仲裁をする
あるいは・・・・・・・・・などなど
あるとき 猿山の一本の大樹を囲む柵の中に 幼児―もちろん猿の―が落ちて 戻ることが出来なくなってしまった
その時 件の猿はすぐさまその柵の中に飛び込んで子猿を救い出したのだそうだ
その事件以来 群れの中のその猿の存在は不動のものになったのだ
ここのボス猿は 最初から体が大きい 強い猿だったのではない
ボスざるになってからの特権は 毎日群れに与えられるエサを最初に食べることである 他の猿はその後なのだ だから体も一番大きくなったのだ
というところでオジさんの話は終わる
優れたリーダーのひきいる群の一員でいる限り 妥協はあるが安心の生きかたが出来るのだろう
優れたリーダーになるのは この猿山のボスのような大変な努力の積み重ねの結果なのか それとも生まれつきの指導者気質がひとりでになせる技なのか
いずれにしても リーダーとは 群れの一員ではなく 厳しい自己責任を自らに課して己れの世界に独り生き
その代わりに限りない自由を得た存在なのだろう

どうして住宅はどれも違う形をしているのか?ヨットの自由な世界 との関係は?
厳しい自己責任と引き換えに 限りない 自由のある生き方をとる をご覧ください
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