RIMG0009 3連休2日目も抜けるような青空 風も程よい4、5メートル 最高のヨットセーリングになる と港を出る

 間もなく異常に気がつく

 船底に溜まった水がますます増えているのだ

 出航前にはエンジン周りなど船体の点検をする

 ビルジの水溜りにはその時気がついていたのだが 2週間ぶりの出航だ グランドパッキングからの水漏れが多くなっているのだろう 帰ったら少しナットを締めなくては と 午後も遅くなったこの日 はやる気持ちが抑えられず 船体の点検もそこそこに出港したのだ

RIMG0153 - コピー 己れのヨットには スクリューをまわすプロペラシャフトが船体を貫通して水中に出て行く箇所がある

 水圧のかかる海水の侵入を防ぐためディーゼルエンジンで高速回転するこのシャフトと 船体の貫通部分との隙間に グリースにより漬物状となっているロープを密閉した グランドパッキング という一種の軸受装置が備えてある

 シャフトの回転時にはこの隙間から少しずつ漏れ出る海水により摩擦部分の潤滑をする仕組みなのだが これは緩すぎず硬すぎずの締め付け調整が常に必要な代物なのだ

 この古くからのヨットが備えている至って原始的な装置は 現代のヨットではハイテクの調整不要の装置に置きかわっているのだが 己れのヨットは あえて 常にメンテナンスをしなければ安心できないこの グランドパッキング としているのである

  古き良き時代のエスプリあふれる愛車の手入れに いそいそといそしみ 優雅にドライブを楽しむオーナーのビンテージカー と同じ感覚なのだ

 この漏れ出た海水はヨットの船底に溜まってゆくのだが この日はエンジンを止めれば―シャフトが回らなければ―海水は漏れ出ないはずだから船底の海水はこれ以上に増えることは無い とセーリングを始めたのだ

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 まごまごしてはいられない 船底には 乗用車1台分の重さのバラストがぶら下がっているのだ 
 浸水 沈没 が脳裏をかすめる

 これではまるでカチカチ山のタヌキのどろ舟だ

 とにかく グランドパッキング を締めよう と工具引き出しを開けてハッとする

 大径のレンチが無い

 他で使用した後 ヨットに持ち帰るのを忘れているのだ
 
 止まっているシャフトからは海水が流れ出ている
 エンジンを回せば海水は吹き出してくるだろう

     

 緊張の小一時間がなんとか過ぎて 己れは ヨットを無事母港の桟橋にもやうことが出来た

 備えあれば憂いなし と 唱える己れの この日のヨットセーリングは 己れ自身の小さくもありとても大きくもある2つの油断から 誠にお粗末な顛末となってしまった

 極度の緊張と 帰航後の犬小屋のようなエンジンルーム(エンジン設置穴倉)に己れの身を押し込んでの両手が油だらけになるグランドパッキング整備に疲れ果てた連休2日目が終わる



 油断は全てを台無しにしてしまいますが 今回のトラブルは 幸いにも母港の近くで起こったので大事に至らず 大きな反省だけが残ることで救われました

 住宅設計も同じです これくらいは良いだろうと思うことがいざという時に大事をもたらすのです この日は初心に戻ることの大切さを改めて思い知らされた一日でした

ヨットも住宅設計も「備えあれば憂い無し」

片手は我がヨットのために もう一つの手は自分自身のために 体を鍛える



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