sun 遅い朝食とも昼食ともつかぬ食事をのんびりとるが やたら眠く 一寸ひと休みと ベッドに横になり 灰色の空を見上げる

 今頃は海も鉛色だろう

 快適な自然の懐にいだかれて のんびりセーリングで命の洗濯を などと考えるには少しさびしい休日の天候だ



 先週 休日の昼下がりはすばらしい青空 2, 3メートルの風が吹く快適な海況であった

 己れの小さなヨットは6トンもの排水量である

 この重いヨットを 今日のような微風にも帆走らすための大面積のゼノアセール
 風の整流のためのステイスル
 そしてこれも大面積のメインセール

 3枚のセールで己れのヨットは滑らかな海面をゆっくりすべって行く

 日常の喧騒を離れた穏やかな自然の中に 至福の時が流れてゆく


 しかし ゆく手の水平線には積乱雲が北東から南東へと壁のように広がっている

 4,50マイル先の房総半島の平野の広がりあたりか
 低い大地がこの好天に暖められて上昇気流が発生したのだろう

 今 頬をなでる空気は冷たくて快適だ
 であれば 積乱雲の発達に備えをすることになるかも

 己れの意識の中で 風上に錨を入れておこう

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 風上に錨を入れる とは?

 己れは 住宅設計において たとえば 耐震構造における隠れた施工不良の部位があった場合などでも 他の部位に構造耐力の余裕をもたせておくことで 大地震時でも建物全体としてきちんと耐震性能を満たしている というような設計の考え方をするなど あらゆる面で 錨を風上に入れて 住宅設計をおこなっている

 もちろん日常生活においても このような考え方は己れの慣わしになってしまっているようだ



 優れた帆走性能をもつ現代のヨットと違い 昔の帆船は風上に向かっては自由に帆走れなかった

 帆船同士の戦いの勝利につながるのは 敵対する相手の動きに対して自船の行動の自由を確保出来るように 自船が相手の風上に位置することであった



 さしずめ これを現代に置き換えたお話であれば


 日本国の帆走巡視船が 日本国の海域に無断で侵入した北朝鮮の帆走工作船に停船を命じる場合

 その船 我方の風下に位置して停船せよ

 と信号旗で命令する巡視船の行動である



 転じて この日の己れのヨット操船の場合であれば

 雲の観察を怠ってはならない 積乱雲の発達が急速であれば突風に備えねばならぬ 

 という意識である



 己れはヨットを操船する場合 無意識に いつも 風上に錨を入れている

 すなわち常に安全側に余裕を持とうとしている
 事が起こった場合は 時間に余裕を持って充分な対応が出来るように という意識だ


 幸い積乱雲は時間と共に少しずつ低くなって行く

 午後の太陽も傾いてきて 夕方もまじかだ
 太陽の日射熱も弱くなってきたのだろう

 己れの気持ちの中の錨はもう上げても良いだろう


 すばらしい休日の午後のセーリングであった

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昨年の夏 夕暮れのセーリングも至福の一刻でした





 そんなことを思い出して 気持ちはヨットの上にありながら いつのまにか眠ってしまったらしい



 先週は

 日本建築防災協会の講習会で 一日缶詰

 新しく始まる二世帯住宅設計の敷地での 古家屋 樹木 擁壁 などの 処分 残置についての解体屋さんとの打ち合わせ

 現場へ日参しなければならないスケルトンリフォーム工事の現場行 

 気が付けば深夜に及んでしまった建築主との打ち合わせ


 とにかく疲れていたのだろう

 目が覚めたら夕方17時をまわっていた


 己れの習慣で目が覚めれば すぐ空を見る

 午前中とはうって変った 青空の広がり


 思わず妻にこぼした己れの愚痴

 あ~あ せっかくの休日 無駄にしてしまったなあ


 妻の答

 一日ゆっくり休養出来たのだからなによりなのでは

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 女性の云うことは正しい

 と この半生信じて生きてきた己れだ なるほど と 納得する


 確かに疲労感が消えて軽くなった己れの体 雨でぬれた桜の青葉で空も見えないほどの 己れの大好きな緑の その遊歩道を歩くこと10分

 平日はヨットのウインチ巻きに備えた筋トレをせっせとおこなうスポーツクラブに着き 今日はのんびり泳ぐ 

 300メートルも泳ぐと心地良い


 プールサイドのウエットサウナは己れ1人だった

 遠慮勝ちに歌う己れの歌声でも 向こうの壁が見えないくらいの大量の蒸気の粒一つ一つに反響するのか 自宅のシャワー以上のエコー効果で 己れの声に聞き惚れる


 夕食のビールの美味さ!


 女性の云うことはやはり正しい


 充実した休日の一日であった


 



住宅設計――私が こんな浴室を設計した 本当の理由とは?



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