
基本的に耐震構造耐力が不足していることは無いはずだ と己れに言い聞かせるが 改めておこなった当時の設計図のチェックを終えるまではやはり不安がよぎる
結果はもちろん OK であった
しかしながら 建築基準法が定めた耐震構造壁量の数値は満たすものの 問題は その余剰分が少ないことであった
当時の己れの若さでは 経験の足りなさもあったのであろう 経済観念ばかりを優先させて建築工事費削減を第一に考えたこの設計になったのではないか と思い返す
住宅の設計は ただいたずらに工事費の削減を考えるだけではなく そしてその構造計画は 単に建築基準法で定められた数値を満足させることだけなのではなく 木構造体の施工不備な箇所などが原因で生じる建物の構造上の不測の事態に備えて 耐震強度に一定の余裕をもった木構造体を設計する など 住宅設計とは その住宅全体を見据えた 総合的なバランスの上にたって設計をおこなうものであることを改めて思う
今回の このスケルトンリフォーム住宅の耐震補強設計では 「木造住宅の耐震診断と補強方法」が定める基準である「総合評点」 の目標数値を 建物が一応は倒壊しないという 1.0 を 余裕をもって上回る数値 1.5 と定めて 耐震補強計画をおこなうことと

Kさん宅の場合 リフォーム工事は全面的なスケルトンリフォーム工事なので 耐震補強部分の既存壁の取り壊し そしてその部分の 外部あるいは内部の仕上げ工事は 耐震補強工事 の有無にかかわらずおこなうことになる
これらの費用及びそれに関連する費用を除外した純粋の耐震補強材とその取付工事費のみの金額を試算すると その形態 仕様によっても異なるが 耐震壁1ヶ所当たり3〜5万円である
この耐震壁建築1ヶ所当たりの算出費用から 今回の 純粋の耐震補強工事費のみの総額 が判断出来る
このKさん宅の場合は 耐震補強部分を建築基準法が定めている性能と同等と考えられる 総合評点 1.0 にとどめるのではなく 耐震性能上余裕をもった 総合評点 1.5 の設計とすることは 住宅設計における建築家の裁量の範囲内での バランスを考えたリフォーム(リノベーション)工事費総額の配分範囲におさまる と考え 建築主の了解を得てこの耐震構造補強計画方針を定める
今回の耐震補強を伴うKさん宅スケルトンリフォームの 工事請負契約 が Y工務店との間で 昨日 行われた
己れも 発注者であるKさんから監理業務を委託されていることを証するため 同契約書に記名押印をする
リフォーム工事請負契約書 そして 添付する 契約約款 設計図書 見積書 の内容を 建築主にあらためて説明し 同時に請負者のY工務店社長に逐一確認してもらう
発注者 請負者 そして己れの記名押印が終わるまでに2時間余を要した
一級建築士であるKさんの御子息も建築主側の一員として同席される
といっても鬢に白いものが見える 今やKさんの会社の重鎮である 御子息 である
記名押印の緊張が和らいだ後 御子息が 今は離れてしまった 建築 の話で 一刻の楽しい会話が続き リフォーム工事請負契約 という重要な行事が終わった
建築家木村俊介のホームページにて 耐震補強を行うスケルトンリフォーム住宅設計 を御覧下さい
次回-その5で 木造住宅における耐震補強の余裕の考え方と ヨットの船体強度の余裕の考え方 について御覧頂く予定です
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