
建築主のFさんとサンプル帳に顔を突っ込むようにして見ながら決めたじゅうたん色――といってもFさんが選んだ色なのだが――は 卵の殻のようなマットの質感で 暖かな白色に塗られた大きな面の壁と天井に なんともぴったり合った色合いだ
私でも同じ色を選んでいるはずだと思い 異論なく決定となったそのじゅうたんが 現場に入荷して梱包をといてみたら色が違っていたのだ
受けた電話で色の違いを知り 慌てて工務店に出した 「指示書」 の色番号を確認するが間違っていない
設計事務所→工務店→じゅうたん施工会社→じゅうたんメーカー の じゅうたん発注経路の間で間違いが生じたのだ
事情を良く聞くと 設計事務所がワープロで書いたリポートを ファックスで工務店に送った正しい色番号が じゅうたんメーカーに着いた頃には××5 が ××6 と読めてしまう少し滲んだファックス文字になっていたのが間違いの原因であった
設計事務所を始めとするプロ集団の間の恥ずかしい間違いということになるわけで 建築主に対しては 言い訳もできない 「御心配をおかけしました」 と言うことになってしまう
伝聞ゲームで内容が変わっていくことは 仕事のうえでも同じであることの恐ろしさを実感する
仕事においては ダブルチェックが必須であることを肝に銘じることになった一日であった
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